こんにちは、総務パパです。
週末の家族登山、楽しんでいますか?
我が家も小学生の姉妹と一緒に、鹿児島県内の山々を楽しんでいます。子供たちの成長を自然の中で感じられる登山は最高ですよね。
しかし、実は過去に一度、自分の体力を過信して痛い目を見たことがあります。
それは、美しい円錐形のシルエットから「薩摩富士」とも呼ばれる日本百名山、開聞岳(かいもんだけ/標高924m)に登った時のことでした。

所要時間は4時間〜6時間程度。我が家では「8歳以上向け」と位置づけて挑んだのですが、登り始めは順調だったものの、この山の真の恐ろしさは「下り」にあったのです。
今回は、その手痛い失敗から学んだ教訓と、それ以降私の登山に欠かせなくなった「トレッキングポールの活用術」についてお話しします。
※これは一般的な登山教本の使い方ではありませんが、膝の負担を減らすために私が実践し、効果を感じている方法です。
今回の結論から言うと、私は「トレッキングポールを2本使い、上りでは腕で荷重を分散し、下りではブレーキとして使う」ことで膝の痛みが大きく減りました。
膝の痛みに不安を感じる同世代のパパ・ママの救いになれば幸いです。
開聞岳の岩場で突きつけられた「40代の現実」
開聞岳は、山頂に向かって螺旋状に道が続く美しい山ですが、後半になるほど段差の大きい岩場が連続します。
登りで既に疲労していた私の太ももに、下りの着地衝撃がダイレクトに伝わり続けました。
そして、7合目を過ぎたあたりで、私の両膝はガクガクと笑い始め、悲鳴を上げ始めたのです。
なぜ「登山の下り」で膝が痛くなるのか?平地の2倍以上の衝撃!
実は私、応急手当普及員の資格を持っており、人体の構造や怪我のリスクについては多少学んでいるのですが、この時のダメージは完全に想定外でした。
一般的に、平地を歩く時の膝への負担は体重の2〜3倍ですが、上りは6倍、下りでは体重の約7倍もの負荷がかかると言われています。
階段を昇る際には体重の約6倍、降りる際には最大で7倍もの荷重量が膝にかかるとされています。
例えば体重70kgの人であれば、一歩ごとに約500kg(体重の約7倍)もの衝撃を受け止めながらブレーキをかけ続けている計算になります。これでは40代の膝が悲鳴を上げるのも無理はありません。
仙人のような娘たちと、限界を迎えたパパ
一方で、前を歩く娘たちはどうだったでしょうか。
まるで仙人のように軽々と、ぴょんぴょんと岩場を下っていきます。
登山において、体重が軽く回復力の早い子供の方が、実は圧倒的にパフォーマンスが高いのが現実です。
一方の私は、一歩足を下ろすたびに膝に激痛が走ります。
「もしここで動けなくなったら、帰りの運転は誰がするんだ?」
そんな最悪の事態が頭をよぎりました。
気合いや根性ではどうにもならない、「身体の限界」を感じた瞬間でした。
上りと下りで「役割」を明確に使い分ける
この開聞岳での出来事以降、私は登山をする際、必ずトレッキングポールを使用するようになりました。実際、体の疲れも膝への負担も激減しました。
ただ、ポールは「ただ突けばいい」というものではありません。
「上り」と「下り」で役割(と長さ)を明確に切り替えることが大事です。
【基本】まずは「長さ」を変えることが重要
使い方の前に、意外と見落としがちなのがポールの長さ調整です。
- 上り: 少し短めに(ポールを突いたとき、肘が90度よりやや鋭角になるくらい)
- 下り: 少し長めに(足を下ろす段差の先に届くよう、5〜10cmほど伸ばす)
これをサボると効果が半減どころか、逆に疲れてしまいます。面倒でも休憩のタイミングで調整しましょう。
【上り】は「腕力」で荷重を分散(四輪駆動)
実は、膝を守る戦いは上りから始まっています。 前述のとおり、上りでも体重の6倍の負荷が膝にかかっています。脚の筋肉だけで重い身体を持ち上げようとせず、積極的に腕の力を使って負荷を分散させましょう。
- ポールを足の横につき、グリップをしっかり握る(ストラップを活用)。
- 腕でポールを押し込みながら、脚にかかる体重の一部を肩と腕で受け止める。
イメージは「手すりを使って階段を上る」感覚です。
脚にかかる負荷を腕に分散させる「四輪駆動(4WD)」状態で登ることで、太ももの筋肉の消耗を最小限に抑えて温存できます。
これをするのとしないのとでは、山頂に着いた時の疲労感が「全く」違います。この温存した「余力」が、下りの踏ん張りに効いてきます。
【下り】は「ブレーキ」で衝撃を和らげる
そして膝が悲鳴を上げる「下り」。
ここでのポールの役割は、完全に「ブレーキ(衝撃吸収)」に徹します。
- 足を下ろす前に、ポールを段差の下に突く。
- ポールに軽く抵抗をかけながら、ゆっくりと着地する。
ドスンと落ちる衝撃を、ポールというサスペンションで受け止めるイメージです。
着地の衝撃を和らげることで、膝関節へのダイレクトなダメージを防ぎます。
※注意:下りでポールに「全体重」を預けるのは危険です。ポールが滑った瞬間に転倒するリスクがあります。あくまで「ソフトランディングするための補助ブレーキ」として使いましょう。
劇的に楽になる「2つの絶対条件」
この「上りの分散」と「下りの繊細ブレーキ」を実践するためには、道具選びと使い方が重要になります。
1. 必ず「2本(ダブル)」で使うこと
ポールを1本だけ(シングル)で使っている方をよく見かけますが、上りで腕力を使って身体を支えるなら、両手に必要です。
左右両方の手に持ち、2本同時に突いて上半身全体を使うことで、初めてパワフルな「四輪駆動」が可能になります。
必ず「2本1セット」で使用してください。
2. 「I字型」+「ストラップ」の使い分け
現在の登山の主流は、まっすぐな「I字型」のグリップです。 I字型ポールは、ただ握るだけではありません。手首に通す「ストラップ(紐)」の使い方が重要です。
- 上りの時(四輪駆動モード):ストラップを下から手首に通し、紐を包み込むようにグリップを軽く握ります。こうすると、手首から紐、そしてポールへと一直線に体重が乗り、「握力」がなくても手首や背中(広背筋)の大きな筋肉を使って、グイッと身体を支えることができます。
- 下りの時(ソフトブレーキモード):ここが重要です。下りでは、手のひらの付け根をグリップの頭(ヘッド)に軽く乗せるようにしてブレーキをかけます。
【⚠️安全のための重要ポイント】急な下りや、転倒のリスクがある岩場では、あえてストラップから手を抜く(または緩める)ことをお勧めします。万が一転倒した際、手がストラップで固定されていると、受け身が取れずに手首の骨折や肩の脱臼などの大怪我につながるリスクがあるからです。「平坦な道はストラップ活用」「危険な下りはフリーハンド」と使い分けるのが、長く安全に楽しむコツです。
▼ここからは「失敗しないポールの選び方」です
腕力を使うからこそ「剛性」で選ぶ
そして最も重要なのが、ポールの「強度(剛性)」と「ロック機構の確実性」です。
上りでグイグイ腕力を使って身体を支えようとすると、ポールにはそれなりの負荷がかかります。
使っている最中にポールがしなったり、ロックが緩んで縮んだりすれば、バランスを崩して危険です。
だからこそ、選び方にはシビアになる必要があります。
素材:私は「超々ジュラルミン」を選んでいます
軽量なカーボン素材も人気ですが、私は耐久性を重視してアルミ(超々ジュラルミン)を選んでいます。
多少重くなりますが、横からの衝撃や一点にかかる負荷に対して粘り強く、折れにくい安心感があるからです。
ロック機構:レバーロック式
回して固定するスクリュー式は、使用中に緩んでいても気づきにくい欠点があります。
パチンと留める「レバーロック式(フリックロック)」であれば、視覚的にロック状態が確認でき、しっかりと固定できるので、腕力を安心して伝えられます。
| 特徴 | おすすめの仕様 | 理由 |
| 素材 | 超々ジュラルミン (アルミ合金) | 腕力を使っても折れにくく粘り強い。耐久性重視の選択。 |
| ロック | レバーロック式 | 視覚的に固定を確認でき、力が加わっても縮みにくい。 |
| グリップ | I字型 (またはハイブリッド) | ストラップに体重を預けることで、握力に頼らず全身の力で身体を持ち上げられる。手首の安全・負担軽減にも直結。 |
数千円の安いポールを買って不安な思いをするくらいなら、1万〜2万円を出して信頼できるメーカー(Black DiamondやLEKIなど)の頑丈なポールを買うほうがおすすめです。
具体的に「これを買っておけば間違いない」という、私も推奨の定番モデルを2つご紹介します。
1. 【迷ったらコレ】ブラックダイヤモンド(Black Diamond) トレイル
登山愛好家の間で「最初の1本はこれを買えば間違いない」と言われる大定番モデルです。
最大の特徴は、極めて頑丈なアルミ合金シャフトと、カチッと強力に固定できるレバーロック。上りでグイッと身体を支える「四輪駆動」の強い負荷にもビクともしません。
グリップのスポンジ部分(EVAフォーム)が下に長く伸びているため、岩場の段差などで「一時的に短く持ちたい」時にも、長さを調整し直す手間なくサッと対応できるのが本当に便利です。
2. 【下りの安心感】LEKI(レキ) レガシー
ソフトブレーキに最適なグリップ形状
トレッキングポールの世界的トップブランド「LEKI」が誇る、ハイコストパフォーマンスモデルです。
このポールの最大の強みは、上部に丸みを持たせた「エボコングリップ」。下りの際に、手のひらの付け根をグリップの頭に軽くポンと乗せる「ソフトブレーキ」の動きが、手首に負担をかけず驚くほど快適に行えます。
軽い力で確実にロックできるレバー機構を備えており、疲労して握力が落ちてきた下山時でも操作がスムーズです。
これを今後数年間の登山回数で割れば、1回あたりのコストは微々たるものです。
膝を痛めて通院することになれば、その治療費や整体代を考えれば、はるかに安い「安全への必要経費」と言えます。
【重要】この症状が出たら無理せず中止してください
道具はあくまでサポートです。もし登山中に以下の症状を感じたら、ポールがあっても無理をしてはいけません。
- 膝の曲げ伸ばしで「カクン」と力が抜ける感覚がある(膝折れ)
- 膝の皿の奥に鋭い痛み走る
- 膝が引っかかって伸びない(ロッキング)
これらは膝関節の半月板や靭帯が限界を迎えているサインの可能性があります。勇気を持って下山、またはエスケープルートを選択し、整形外科を受診してください。
安全に家に帰るまでが登山です。
もし「下山後だけ膝が痛くなる」「階段の下りがつらい」と感じているなら、筋力不足というより“下りの衝撃を処理しきれていない”可能性があります。トレーニングを増やす前に、道具の使い方を変えるだけで改善するケースもありますよ。
【付録】開聞岳・家族登山のミニガイド
最後に、これから開聞岳に挑む方のために、簡単なデータをまとめておきます。
- 標高: 924m(日本百名山)
- ルート: 螺旋状に登る一本道のため迷う心配は少ないですが、後半は岩場が多くなります。
- 所要時間: 往復4〜6時間(子供連れなら余裕を持って6時間見ておきましょう)
- トイレ: 登山道にはありません! 2合目の管理棟横が最後です。必ず済ませておきましょう。
- 水場: ありません。夏場は特に暑くなるので、多めの水分(1人1.5L〜2L推奨)が必須です。
- 注意点: 独立峰のため、風の影響を受けやすいです。また、7月〜9月は猛烈に暑くなるため、家族連れなら春か秋がベストシーズンです。
まとめ:大人の「工夫」で膝を守ろう
開聞岳での教訓は、私に「自分の脚力を過信しないこと」と「使える筋肉(腕)は全部使うこと」を教えてくれました。
もし今、登山後の膝の痛みや、翌日のひどい疲れに悩んでいるパパ・ママがいらっしゃったら、ぜひ一度試してみてください。
頑丈なトレッキングポールを2本持ち、上りは腕力で分散し、下りは優しくブレーキをかける。これだけで、翌日の体の軽さに驚くはずです。
道具と自分の筋力をうまく組み合わせて楽をする。これも長く楽しく家族登山を続けるための賢い選択です。
次回の登山では、体の負担を減らす装備の準備とともに、山の天候確認も忘れずに行ってください。
山の天気は変わりやすく、事前の天気予報チェックが安全確保には不可欠です。
我が家で活用している「失敗しない天気予報サイトの選び方」についてまとめた記事もありますので、ぜひ安全な登山計画にお役立てください。


