
「うちの子、もっと自信を持って色々なことに挑戦してほしい」「テストの点数だけでは測れない『生きる力』を育てたい」。
そう願う多くのご家庭で、「非認知能力」という言葉への関心が高まっています。
非認知能力とは、目標に向かって努力する力、感情をコントロールする力、他者と協力する力など、子どもの将来を豊かにする大切なスキルです。
では、どうすればこの非認知能力を育むことができるのでしょうか?
実は、身近な「家族での山登り」にそのヒントが隠されているかもしれません。
最近発表された研究論文が、小学生の山登り習慣と非認知能力の間に、興味深い関連性があることを示唆しています。
この記事では、その研究内容を引用しつつ、家族登山が子どもの心と体の成長にどのような素晴らしい効果をもたらす可能性があるのかを探ります。
なぜ家族登山が子供の「非認知能力」に良いの?研究が示す驚きの効果
ある研究(坪田ら, 2024)では、小学生の子どもを持つ保護者を対象にアンケート調査を行いました。
月に1~2回程度の日帰り登山をする子どもがいる家庭(以下「山登り群」)と、年間ほとんど登山をしない子どもがいる家庭(以下「非山登り群」)を比較したのです。
・比較的負荷の強くない山登りを想定(日帰りで行うことができ,運動強度は厚生労働省(2023)の運動のメッツ表を参照し,6.5メッツ程度のもの)
・調査項目には、子どもの身体的・精神的な健康観に加え、「目標をもって取り組めるか」「あきらめずに取り組めるか」「自信をもって行動できるか」といった非認知能力に関連する質問が含まれている
注目すべき結果として、山登り習慣のある子どもたちは、そうでない子どもたちに比べて、「精神的健康観」が明らかに高いことが示されました(p <0.05)。

この「精神的健康観」とは、「前向きであり、落ち着いている」といった心の状態を指します。
つまり、定期的な山登りが、子どもの心をよりポジティブで安定したものに変える効果を持つ可能性が示されたのです。
この結果は、自然とのふれあいや適度な運動が、子どものストレスを軽減し、心の安定感を高めるという他の多くの研究結果とも一致します。大自然の中で体を動かす爽快感が、子どもの心をリフレッシュさせ、穏やかにするのかもしれません。
山頂の「やった!」が自信に直結!登山が起こす非認知能力アップの好循環
さらにこの研究では、山登り群の子どもたちの中で、各項目の関連性を深く分析しています。
その結果、「精神的健康観」が高い子どもほど、「自信をもって行動できる」傾向が強いことが、統計的にもはっきりと認められました(相関係数 r = 0.600, p <0.05)。これは、中程度の強さの正の相関関係を示します。
研究チームは、山登りを通じて得られる精神的な安定感や、目標の山頂に到達したり、途中の困難(例えば、急な坂道や少し長い道のり)を乗り越えたりする経験が、子どもの「できた!」という達成感につながり、それが自信を大きく育むのではないかと推察しています。

実際に、学校行事での登山体験が、子どもたちの自己肯定感や「やればできる」という自己効力感を高めたという報告も過去にあります。
もちろん、非認知能力は家庭環境、持って生まれた特性、学校生活など様々な要因が複雑に絡み合って育まれるため、山登りだけで全てが決まるわけではありません。しかし、この研究は、山登りが子どもの精神的な安定や自信を育み、それが間接的に他の非認知能力(例えば、目標に向かって頑張る力や、困難を乗り越える力)の発達も後押しする可能性を示唆しています。家族での登山は、子どもたちの非認知能力を育む上で、とても価値のある活動の一つと言えるでしょう。
子連れ登山と非認知能力:さらなる研究への期待
今回の研究は、定期的な日帰り登山という習慣に着目し、その素晴らしい可能性を示した貴重な一歩です。
研究チームも指摘しているように、今後、より多くの人数の子どもたちを対象としたり、性別や年齢、普段の生活習慣、他の運動習慣といった、子どもの成長に影響を与える様々な要因(交絡要因と言います)も考慮に入れた、さらに詳しい調査・検証が期待されます。
そうすることで、山登りと非認知能力の関係がより明確になるでしょう。
まとめ:家族で山登りへ!子供の非認知能力を育み、親子の絆を深める第一歩
今回の研究結果は、月に数回程度の家族での山登りが、子どもの「前向きで落ち着いた心」を育み、それが「自信を持って行動する力」へと繋がるという、心強い可能性を示してくれました。
週末に家族みんなで近くの山へ出かけてみませんか?
自然の美しさに触れ、澄んだ空気を吸い込み、時には少し大変な道のりも励まし合いながら一緒に乗り越え、山頂からの景色を共有する。こうした経験は、子どもにとって最高の身体活動であると同時に、目標設定、困難克服、そして大きな達成感を味わう貴重な学びの機会となります。

これらの積み重ねが、子どもの心の安定と自信を育て、ひいては様々なことに意欲的にチャレンジする力、つまり「非認知能力」を育む大きな助けとなるはずです。
次の休日は、お子さんと一緒に山の計画を立て、自然の中へ冒険に出かけてみてはいかがでしょうか。きっと、子どもの新たな一面を発見し、家族の絆も一層深まる素晴らしい体験になるでしょう。
参考記事
参考文献
坪田 周介, 小木曽 洋介, 髙木 祐介. (2024). 山登り習慣と小学生の非認知能力に関する一考察 ~身体的健康観・精神的健康観に着目して~. No.28, pp.XX-YY (提供された論文ファイルに準拠).




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